編集/発行・漢方医薬新聞社 

448号(09年1月25日発行)〜450号(09年2月15日発行)

       

腸管の機能と免疫研究会、再スタート約束して終了
一応の区切り、新たな開催を検討

 2月14日、北里大学白金キャンパス内で開催された「第8回腸管の機能と免疫研究会学術大会」(当番世話人/尾﨑博・東京大学大学院農学生命科学研究科)は、今年も充実したプログラムで盛会となったが、閉会時に挨拶に立った日比紀文氏(世話代表人/慶応義塾大学消化器内科)は、「一応の区切り」としてこの研究会が今回で終了することを参加者に告げた。
 今回の世話人の尾﨑博氏が設定したテーマは「腸内フローラ(細菌叢)と消化管機能」。基調講演に立った伊藤喜久治氏(東京大学大学院農学生命科学研究科)は、ヒトの腸内が主に大腸菌、ビフィズス菌、乳酸菌などの嫌気性菌(酸素のある環境で生活が困難または不可能な細菌)によって構成されていることや、細菌の機能研究がパスツールの腸内フローラ不可欠説→メチニコフの不老長寿説→現在のプロバイオティクスと進展してきた経緯を解説。その中で菌の種々培養法が提案され、細菌分類については分子遺伝子学的手法が取り入れられるなど、新しい研究が展開していることを概説した。
〜そのほかに報告された研究・活動内容〜
 ◆常在性腸内細菌や腸粘膜機能が腸の疾患を抑制
 ◆菌叢の状態いかんで蠕動運動の神経伝達信号に異常が
 ◆IBSを心療内科で治療する東北大学付属病院
 ◆薬効の個人差は腸内細菌の満腹度と種類
 ◆その他
(詳細は本紙450号に掲載)

KAMPO MEDICAL SYMPOSIUM2009
    -漢方医学の未来を拓く-
「漢方医学教育の新たな提言と展開」とは
教員不足、卒後研修時の漢方教育空白期間が議題に

『カンポウ・メディカル・シンポジウム2009』((株)ツムラ/(株)日経メディカル開発共催)が2月7日、東京・新宿の京王プラザホテルで行われた。テーマは『漢方医学教育の新たな提言と展開』。司会の北村聖氏(東京大学医学教育国際協力センター)は「漢方を講義する教員不足、教員養成システムの構築、大学間ネットワーク構築、学部教育と卒後教育との連続性の構築、漢方教育の空白期間である卒後の研修医期間をどうするか」と、これまでの課題を提示した。
 主催者側の(株)ツムラ・久島正史専務取締役は、開会挨拶の中で「漢方市場は拡大しているが、原材料の輸入は80%を中国に頼っているのが現状。原材料の安定確保に向けて国内での栽培も北海道夕張市で開始した」と、全社をあげて原材料の確保に取り組んでいる現状を報告した。
 シンポジウムの中では、多大学による漢方の組織的研究や連携について報告された。
 東海大学医学部長の猪子英俊氏は、神奈川の4大学(東海大学・横浜市立大学・マリアンナ医科大学・北里大学医学部)が漢方医学教育の情報・人材交流を図るべく『漢方医学ファカルティーディペロップメント』を昨年に立ち上げ、平成24年までに漢方医学教育のミニマムカリキュラム案を作成していくことを発表。
 大分大学医学部医学教育センターの北野敏明教授は、南九州の4大学(熊本大学医学部・大分大学医学部・宮崎大学医学部・鹿児島大学医学部)の教育関係者が集まり『南九州地区・大学漢方医学教育研修会』を昨年8月に開催したことを報告しながら、「漢方医学に興味を持てる教育の実施、何を教えるかというより、学生に漢方に情熱を持たせること、多様性を認め、前途ある学生の邪魔をしない、まずはできることから実践していくことが重要」と述べた。(詳細は本紙450号に掲載)

"伝統医学と現代医学の調和"をテーマに
第15回国際東洋医学会 来春、幕張メッセにて開催

 来年2010年2月26日(金)〜28日(日)の3日間、幕張メッセ(千葉市)において第15回国際東洋医学会が開催される。現在、室賀昭三氏(温和堂室賀医院)が会長をつとめる同会の学術大会が日本で開催されたのは、1999年(東京国際フォーラム)が最後。今回は11年ぶり4回目の日本国内の開催となる。大会長は中田敬吾氏(京都市・聖光園細野診療所院長)。今号では中田氏と同学会日本支部理事長で今大会の準備委員長をつとめる秋葉哲生氏(慶応義塾医学部漢方医学センター客員教授)に、これまでの経過や交流内容、今大会の意義や概要についてお話をうかがった。
 中田敬吾氏の談話 :
   ◆弁証なしでも有効な用い方の情報を発信
   ◆一方で証に随う本来の漢方を培う重要性
   ◆漢薬資源確保の議論、早急に
   ◆農村の疲弊、中国の砂漠化に具体的な方策を
 秋葉哲生氏の談話 :
   ◆日本の伝統医学の実力示す好機、歴史に残る大会に
   ◆漢方の知があることで西洋医学の優れた知がさらに生きる
    —伝統医学が真に根付く医療とは
    (詳細は本紙449号に掲載)

 参考資料 : 「国際東洋医学会(ISOM)と同学術大会(ICOM)の歴史 」
"The history of International Society of Oriental Medicine(ISOM)and
International Congress of Oriental Medicine(ICOM)"(和文英文併記)は
→こちらからダウンロード(PDF)できます

薬価維持特例対象製品の実現へ意欲
日本漢方生薬製剤協会新年祝賀会で風間会長

 日本漢方生薬製剤協会(風間八左衛門会長)の平成21年新年祝賀会が1月15日(木)、都内のホテルで開催された。会場には厚生労働省、日本製薬団体連合会、日本東洋医学会、日本薬剤師会、業界団体の幹部、会員会社の代表が多数詰めかけ、新年の訪れを祝った。主催者代表の風間会長(ツムラ相談役)は挨拶のなかで、薬価制度改革案に対して「薬価維持特例の対象製品に漢方製剤、生薬製剤がその範囲に入るよう日薬連などの関係団体と連携し、その実現に向けて努力したい」と語った。 (詳細は本紙449号に掲載)

国際競争力のあるイノベーション産業へ
「雇用の創出含め、期待に応える」
平成21年東京薬業四団体新年賀詞交歓会

 平成21年東京薬業四団体新年賀詞交歓会が1月6日(火)都内のホテルで開催された。会場は東京医薬品工業協会、東京薬事協会、東京医薬品卸業協会、東京都家庭薬工業協同組合に加盟する多数の会員で埋まった。 東京医薬品工業協会の樋口達夫会長は「これまで堅実に実業に取り組んできた医薬品業界は、日本を代表する国際競争力のあるイノベーション産業へと成長することが期待されている。医療を支える根幹的産業として社会的責任を担う立場にあり、今こそ日本の高い技術力と産官学の英知を結集し、雇用創出も含め、この期待に応えていかなければいけない」と決意を表明した。 (詳細は本紙448号に掲載)

インタビュー 田畑隆一郎氏
「漢方は人類の遺産」もっと育てて後世に伝える

 平成21年を迎え、今年は、たばた関本漢方薬局(北茨城市)の田畑隆一郎氏にお話をうかがった。薬局漢方の臨床家であり、生薬・野菜を栽培する農事者であり、「無門塾」を主宰する教育者でもある。「二味の薬徴」に関する研究論文を発表して多くの著書を執筆、大学で教鞭をとるなど、大いなる実践者だ。 (内容は本紙448号に掲載)


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