編集/発行・漢方医薬新聞社 

451号(09年3月10日発行)〜455号(09年5月1日発行)

                                        

「漢方薬など医薬品の郵送販売継続を守る会」
舛添厚生労働大臣へ要望書提出
「検討会」は今月再度開催

 4月23日(木)、24日(金)の各日、「漢方薬など医薬品の郵送販売継続を守る会」の根本幸夫代表、西島啓晃、大石雅子各氏は厚生労働省を訪れ、大村秀章・渡辺孝男の両副大臣に舛添要一大臣宛て要望書をを手渡した。
 同27日(月)には、参議院行政監視委員会において弘友和夫議員がこの問題について「離島ほかさまざまな理由で自分に合った薬が途絶えることになるとの訴えが多数ある。どのように対処するのか」と質問。舛添大臣は「現在、大臣直属の検討会を開催し、インターネット販売も含めた見直しを行っている」。同省医薬食品局長は「『守る会』が設立され署名が集まっている状況を把握している」と答弁した。
 一方「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」も大詰め。28日(火)の第5回検討会ではパブリックコメント募集期間の再設定を同省医薬食品局が発表。6回目の召集が即決した。(詳細は本紙455号に掲載)

 こちらから下記の資料を閲覧できます
 「漢方薬など医薬品の郵送規制に関する要望書」pdf
 「第5回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」資料pdf

消化器疾患の漢方治療
世界の学会でも発表採択15題
〜第95回日本消化器病学会・米国DDW2009〜

 5月7日(木)から3日間、ロイトン札幌ほかで開催される第95回日本消化器病学会(浅香正博大会長・北大教授)では、「エビデンスに基づく漢方による消化器疾患の治療」と題したパネルディスカッション(No.2)が初日に行われ、六君子湯、大建中湯などの臨床報告15題が発表される。
 また30日から米国シカゴで開催される「消化器病週間(Digestive Disease Week:DDW) 2009」では同じく六君子湯、大建中湯関連計15題が採択、過去最高数となった。
(詳細は本紙455号に掲載)
 

第3回「いのち輝かそう大賞朗読授賞式」
全51作品の中から藤澤孝行さんに審査員特別賞

 4月19日(日)、東京・銀座の時事通信ホールで「いのち輝かそう大賞朗読授賞式」(主催・株式会社Jハーブ)が開催された。この賞は、がんや難病の渦中にある人、それらを克服した本人・家族など、病と向き合う状況により区分される5部門で構成され、3回目を迎えた今年は計51作品の応募投稿があった。それらの中から審査員特別賞のほか、部門別最優秀賞・優秀賞の7作品が選ばれた。
 審査員特別賞に輝いたのは、特別養護老人ホームに勤務の藤澤孝行さんが書いた「あなたに寄り添う」と題した作品。10数年前、肺がんで母親が逝去したのを機に、それまでの仕事を整理し、看護師資格を目指して臨床研修に励んだ。受賞作品はそのときの様子を綴ったもの。研修中に出会った70代の婦人に肺がんで苦しんだ母親の姿が重なり、藤澤さんは自ら希望して担当になった。そして寝たきりの入院生活でありながら藤澤さんの研修の役に立ちたいとする婦人の言動に心を打たれ、「研修」という考えを捨てて「寄り添う」ことを決意したという。これを俳優の奥田瑛二さんが授賞式で朗読した。受賞の感想を求められた藤澤さんは「婦人のことが鮮明に思い起こされました。大切なのは、生きている間に何をするかですね」と語った。
 その他の部門別受賞作品と受賞者
 ■「がんを卒業したわたし」部門
 最優秀賞「音の効用——看護実習生に貰った録音テープ」(高野正夫)
 優秀賞「がんもまた良し」(喜田奈穂)
 ■「がんとともにあるわたし」部門
 最優秀賞「癌戦争の果てに」(塩崎蓉子)
 優秀賞「お母さん、ありがとう」(伊藤ヨシ子)
 ■「難病とともにあるわたし」部門
 最優秀賞「さがしもの」(山下純子)
 ■「がん・難病のあのひとを支えたわたし」部門
 最優秀賞「夫の手のぬくもりを忘れない」(高間叔江)
 優秀賞「母への想いを生かしながら〜一緒にいるよ、友へ繋いだささやかな絆」(大窪純子)
 これらの作品はすべて、奥田瑛二さんはじめ、マラソンランナーの増田明美さんや日本テレビ報道キャスターの町亞聖さんなど6人の朗読で紹介された。
(詳細は本紙455号に掲載)

第104回漢方医学フォーラム
「漢方医学の国際化」に向けて正しい用語使用と英語表記統一を

 漢方用語の英語表記はこれまで曖昧なままになっていたが、このたび統一作業が行われ、日本漢方生薬製剤協会(風間八左衛門会長)のWEBサイト上で検索できるようになった。第104回漢方医学フォーラム(3月17日、日本記者クラブ)では、その経緯や具体的な使用事例が示されたが、国立医薬品食品衛生研究所生薬部長の合田幸広氏は同フォーラムで講演し、「正確な英語表記の認識により漢方医学への正しい理解が深まる」と、統一作業の意義を述べた。
 まず合田氏は「漢方」という言葉の英語辞書の表記について「一般に漢方は Chinese (herb) medicine と出る。『日本の薬事行政2007』(薬事日報社)においても同様。一方、米国の『喘息の診断・管理NIHガイドライン第3版』(医学書院)においては "herbal medicine" となっている」と紹介。これらを日本語に訳すと "中国薬" "ハーブ薬" と、現在日本で使われている漢方方剤とは似て非なるものになり、英語論文や副作用情報を英語で発信するときに違う薬物にとらえられる危険性がある。そのため、日本生薬学会、日本東洋医学会、和漢医薬学会の3学会合同で、共通表記法について3年にわたり議論を続けた結果、日本国内で使用されている著名なすべての漢方処方について統一表記にすることが決定し、「漢方」は "kampo" と表記することが決められたと解説した。
 「漢方医学」については "kampo medicine" と表記するが、「WHO西太平洋事務局の用語集では "the traditionally practiced in Japan, based on ancient Chinese medicine" (古代中国医学を基にして日本で伝統的に経験を積んだ)と解説されており、必要に応じてこの注釈をつける」としている。
 また合田氏は、日本薬局方の英語統一表記についても触れ、「日本薬局方の生薬の用語は定義に基づいた公的用語。英語表記をする際には、まずもとの日本語の定義を踏まえ、正しく対応した英語表記を徹底したい」と語った。(詳細は本紙455号に掲載)

還暦、会創設の原点に
「いま、漢方医学がめざすもの」
第60回日本東洋医学会学術総会

 来る6月19日から3日間、東京・竹芝のニューピアホールほか近隣会場において第60回日本東洋医学会学術総会が開催される。会頭をつとめる石川友章氏は、第60回を迎える「還暦」の大会の意義を同大会ホームページに記した。「学会としてこれまでの先人の業績を見直し、また30万人の医師の約70%が漢方薬を医療現場で用いている現在、これらの医師に適正使用のあり方を指導していく必要がある」として大会への抱負を語ったものだ。また、大会の意義については「体系化され自立した実践医学である日本漢方のアイデンティティーを再確認して強固に確立するために、もう一度暦を廻り会創設の原点に立ち返る必要がある」と述べた。
 参加事前登録締切は4月30日(木)、FAX03-5403-7839、
 Eメール : 60toyo@jtbcom.co.jp
(詳細は本紙454号に掲載)

日本東洋医学会・新会長は寺澤捷年氏
6月総会承認後に就任予定

   昨年12月14日、(社)日本東洋医学会選挙管理委員会(矢数圭堂委員長)は、この6月で任期満了となる石野尚吾会長の後任として、寺澤捷年氏(千葉大学大学院医学研究院和漢診療学教授)が当選者に決定したとする選挙結果を報告、今年1月の同学会『会報・専門医通信』誌上で公表された。
 寺澤氏は昭和19年生まれの65歳。叔父に小倉重成氏がおり、千葉大学在学中から千葉大・東医研で活躍。富山医科薬科大学医学部(当時)の和漢診療学講座立ち上げに尽力、国立大学初の漢方医学の教授となった。 (詳細は本紙454号に掲載)
 

花粉症の病理論「春先の花粉症は陰虚内熱があり、
それが花粉(風邪)に触発されて発症する現代病」
江部洋一郎氏の臨床——「第3回統合医療セミナーin名古屋」での講義

 去る1月11日と12日に開催された「第3回統合医療セミナーin名古屋」で、7人の講師の1人、江部洋一郎氏が「陰虚の症例」と題して講義した「花粉症の病理と治療法」の内容を報告する。
 江部氏は「最近の春先の花粉症の7割は陰虚内熱陽亢化風によるもの。冬は静かに陰の精を養う生活をすべきであるのに、現代は冷暖房が完備し仕事や遊びなどにおいて四季の区別なく同じ生活を送るので、冬に陰を養うことができない。そのため、春に天の陽気が盛んになって気温が上昇してくると、人体の内熱と外界の熱が呼応して陰虚内熱が亢じてくる。そのときに軽い風邪(ふうじゃ)である花粉の刺激を受けると、症状を発することになる。鼻閉、咽痛、咳、目赤などは内熱亢進によるもの。外から来る風邪である「花粉」の存在は発症の引き金とはなるが、人体側の陰陽の失調状態(陰虚内熱陽亢)の方が病理機序としては重要である。したがって、漢方療法により翌年以降再発しない治療が可能」と述べ、その臨床例を報告した。 (詳細は本紙454号に掲載)

不眠症の漢方治療 適症適方提示、広がる可能性
まず原因究明を——ストレス、不安には漢方医学的治療を選択
第45回日本東洋心身医学研究会

 去る2月21日(土)、星陵会館ホール(東京・千代田区)で開催された第45回日本東洋心身医学研究会(伊藤隆大会長・鹿島労災病院和漢診療センター長)では、「不眠症」をテーマに会長講演(伊藤氏)、特別講演(堀口淳氏/島根大学教授)ほか、シンポジウムと一般演題21題が発表され、若手から高齢者まで広範囲の不眠症への漢方処方の手立てを示す症例と処方術が示された。
 会長講演を行った伊藤氏は、さまざまな不眠症の症状と、それに適した方剤の見分け方を示し、「驚きやすく怖い夢を見たり、動悸しやすい場合は紫胡加龍骨牡蛎湯、抑うつ状態が強くて便秘傾向の場合には大柴胡湯、大黄は向精神作用が期待できる」などと報告。特別講演の堀口氏は、抑肝散の作用効果に注目し、「さまざまな衝動制御の障害をコントロールする薬として臨床応用できるのではないか」と述べた。
 シンポジウムでは、高齢者の不眠症について蓮村幸兌(愛全診療所)、鈴木順(岩手医大)、新野秀人(香川大)の3氏が講演。蓮村氏は、高齢者に対して甘草が含まれる方剤を使用する際には副作用の偽アルドステロン症への注意が必要なことを強調。「高齢者はカリウムが低下することがあるので、1日の方剤中に甘草がどのくらい含まれているのかを常に気を配らなければならない」と注意を喚起するとともに、高齢者の不眠症治療の処方選択の手立てを解説した。
(詳細は本紙453号に掲載)

日本薬学会第129年会閉幕
激変する薬学教育の現場・6年制1期生5年目に突入

 日本薬学会第129年会(組織委員長・半田哲郎京都大学教授)は、3月26日から3日間にわたり京都市内の国立京都国際会館を会場に約8千人が参加して行われた。
 日本薬学会の新会頭に就いた松木則夫氏(東京大学大学院薬学系研究科)は、文科省・厚労省・経産省が中心となって開始された革新的医薬品・医療器機創出のための5カ年計画「先端医療開発特区(スーパー特区)」の選定が21年度に実際に動き出すことに触れ、「医薬品行政と許認可システムを目指す動きもあり"医薬品庁"設置の提案もなされている」と報告。また 「薬学部6年制の実施も薬学環境変貌のひとつで、この4月から6年制第1期生が5年生になる」と述べた。
 薬学会の生薬・天然物部会の40歳半ばまでの研究者を中心に開かれた『若手シンポジウム/生薬学の伝統と革新』には、現職の日本生薬学会会長の竹田忠紘氏(慶応大学薬学部教授)も出席し「薬学教育の制度改革に伴い、医療薬学を根底から支えるべく、モノからヒトへの教育の方向性を見据えなければ」と語った。会場からは「生薬学は成分解析や植物の遺伝子研究を行うなど科学的な分野。その一方で和漢薬の教育も行わなければならない。最先端の技術と漢方医学の教育の双方を行う矛盾点をどう解決すればいいか」と、学生の漢方教育も担う生薬学研究者の質問もあった。 (詳細は本紙453号に掲載)
 

薬局経営者のためのセミナー
漢方協力研究会——小太郎漢方製薬主催

 去る2月22日(日)、東京・市ヶ谷にある私学会館において、小太郎漢方製薬(株)が主催する「漢方協力研究会」が開かれた。この会は、薬局経営者のための勉強会だ。講師の青木正人氏(倉敷市・アオキ薬局)は、ユニークな連続講義を行っているが、今回も漢方の知識を接客場面でどのように生かすか、自身の接客と集客効果を例にあげながらレクチャーした。また三上正利氏(日本薬剤師会薬局製剤・漢方委員会)は35年ぶりに改訂になった「一般用漢方製剤210処方の手引き」の見直し作業について解説を行った。
 『集客と顧客管理のノウハウ』と題した青木氏の講義では「アイディアを出すのは経営者の必須条件」として、お金をかけずに集客する方法が提案された。また、ホットコーヒーを店内で振る舞うサービスは「熱い物は飲むのに時間がかかるから、その間に店内商品を見てもらえる」「しかし、売れないから顧客に何かサービスしようとするのは間違い」「ダイレクトメールは、商品の案内は半分にして、元気が出る食事指導や料理の仕方、クロスワードパズルなどを入れると、反応がいい」などと語った。
 日本薬剤師会の三上正利委員長は、平成14年に公開された厚労省の一般用医薬品承認審査合理化等検討会による中間報告書に沿った「一般用漢方製剤210処方の手引き」の見直し案を検討し、このほど35年ぶりに210処方が改訂されたことを報告。また、三上氏は漢方薬局の現状にも触れ、現在限られた漢方薬局で行われている煎じ薬の処方箋調剤料に改正すべき点があることを挙げるとともに、「漢方薬局が存続するためには、適正な報酬とシステム化のためのグンドデザインが必要である」と訴えた。
(詳細は本紙453号に掲載)

『創と療の伝統と確信』 日本薬学会第129年会
11年ぶりの京都にて——薬学教育と研究、従来にない革新の時代

 来る3月26日(木)から3日間、京都市左京区宝ケ池の国立京都国際会館およびグランドプリンスホテル京都において開催される日本薬学会第129年会(半田哲郎組織委員長・京都大学大学院教授)のテーマは『創と療の伝統と革新』。一般発表演題数は過去最高の4016題で、これらは薬学的視点から「化学系」「物理系」「生物系」「環境・衛生系」「医療系」「その他」の6つに分類された。同広報委員会が学系ハイライトとして選出した演題は次の通り。


 ◆資源枯渇で最も難題を抱える重要生薬「甘草」にスポット
  栽培に適した品種改良を目指す
 ◆腸内細菌バランスを整える漢方処方を探せ
 ◆新しい動脈硬化予防治療薬が出た?
 ◆漢方薬の成分と"おなか"の免疫系
   〜西洋薬にはないその働きの秘密に迫る〜
 ◆漢方薬が熱帯感染症患者を救う!
   皮膚型リーシュマニア症患者に朗報
 ◆糖尿病に歯止めをかける!?
   〜伝承薬木に抗糖尿病成分を求めて〜
 ◆新規開発の第一歩——自然免疫を活性化する天然物の探索と合成
   (詳細は本紙452号に掲載)

「漢方薬と薬剤師」
日本漢方生薬製剤協会 平成21年新年講演会
漢方生薬製剤の正しい情報伝達ができる薬剤師の育成を

 1月15日(木)、都内のホテルで開催された日本漢方生薬製剤協会(風間八左衛門会長)の平成21年新年祝賀会に先立ち、財団法人日本薬剤師研修センター専務理事の平山一男氏による「漢方薬と薬剤師」と題する講演があった。講演は、「イントロダクション」「認定制度について」「薬剤師と漢方薬・生薬との係わり」の三部構成で行われた。
 平山氏は、「生活習慣病が疾病の主流となった現代において漢方薬が欠かせないアイテムとして注目されており、漢方薬剤師の役割が大きくなった。こうした中で、平成12年度から漢方薬・生薬認定薬剤師制度がスタートし、すでに1344名の認定者がでている。また、大学薬学部や薬科大学でも漢方薬学・生薬学のカリキュラムが組み込まれている」と報告。
 さらに、日本薬剤師研修センターが大学などを卒業した薬剤師の卒後のスキルアップを担っていることに触れ、「薬剤師が漢方生薬製剤の正しい情報を把握して、その伝達に努めることが重要。重篤な病気でないことや、補完代替治療の安全性、治療中の病気への影響などを十分に確認し、適切なアドバイスを行うのが薬剤師の役割」と講演を締めくくった。
(詳細は本紙452号に掲載)
 

第103回漢方医学フォーラム
「高齢者医療の最前線」認知症とは——
杏林大学医学部高齢医学教室 鳥羽研二教授

 去る2月13日(金)、日本記者クラブにおいてマスコミ関係者向けの研究会「漢方医学フォーラム」が開催され、杏林大学医学部高齢医学教室の鳥羽研二教授が講演を行った。鳥羽教授は同大学内に「物忘れセンター」「転倒予防外来」を開設し、認知症の治療にあたっている。今回は、有効かつ安全な薬物療法および非薬物療法の実際を解説した。
 鳥羽教授は、認知症の初期段階を「新しい場所への旅行が困難」、中程度を「買い物不能、自動車運転危険、適切な洋服の選択に介護が必要」、やや高度では「着衣失行、入浴要介護、トイレの水を流さない、尿失禁、便失禁」、最高度は「歩行・着座の障害、表情喪失、話し言葉が単語のみ」と段階評価を紹介し、「認知症は妄想や自暴自棄、無欲、行動異常など、多様な周辺症状に彩られている。家族への大きな介護負担があるが、不適切な対応は患者が得られるべき安寧に対して不利益が生じる。問題行動を伴う周辺症状を和らげることが介護者のみならず患者本人にとっても有益である」と述べた。そして「認知症の周辺症状は可逆的。治る可能性がある」として、その実例を紹介した。
 薬物療法では「薬剤数と転倒にも関連があり、都内診療所が通院患者262名に調査した結果では、1回の薬剤数が多いと転倒回数も多くなる。認知症の薬物治療は、日常生活動作を維持しながら転倒を起こさず、周辺症状を緩和する最小限のものが求められる。漢方治療は有力な選択肢のひとつ」と語り、「抑肝散」の臨床試験を紹介した。
(詳細は本紙452号に掲載)

「癒し」テーマに全国大会 第9回癒しの環境研究会
"生きるために見るべきもの"とは

 2月27日(金)、28日(土)の2日間、第9回癒しの環境研究会全国大会(茨城大会)が土浦市の霞ヶ浦湖畔にあるホテルCANKOH(霞ヶ浦観光ホテル)において開催され、850人が参加した。主催は癒しの環境研究会(代表世話人=高柳和江・日本医大准教授)。大会長を藤原秀臣氏(総合病院土浦協同病院長)がつとめた。2日目の最終プログラムとして同病院が主催した市民公開講座・文化講演には250人が参加した。文化講演の演者の佐賀純一氏(佐賀病院)は、生死の境を行き来する病床に臥しながら和歌と古典、絵の世界へと向かった体験を語り、佐賀氏が描いた絵や父の佐賀進氏が土浦の町や人々、霞ヶ浦の風景を描いた絵とともに講演。また公開講座の講師の家森幸男氏(京都大学名誉教授)は「癒しの食環境」の科学的根拠について述べ、それを証明した香港からのレポート映像を放映した。
 ◆テーマは「生命がめざす癒しの環境と医療」
 同研究会は、全国大会を含む年3回の研究会や病院見学会ほか、『笑い療法士』の認定資格試験を行うなどユニークな活動を展開している。「自己治癒力を高めることができる病院にするにはどうすればいいかがテーマ。医療提供者だけではなく、病院の建築家、患者さんも交えた研究の場。批評にとどまらず建設的な意見交換を行うことを目指している」と高柳氏。今大会においても医師の態度や看護のあり方、建物空間から得られる癒し、園芸療法や音楽療法、また「病院スタッフに癒しが生じる時」といった講演も行われた。  (詳細は本紙451号に掲載)

佐賀純一氏の講演をまとめた
「絵と和歌による癒しの世界」(PDF)のダウンロードは
→こちら

「医療維新」掲げ、西洋医学VS代替療法
第26回日本東方医学会学術大会

 第26回日本東方医学会(谷美智士会長)は、2月15日東京国際フォーラムで開催された。今回の会頭は、統合医療を実践し後進の指導にも力を入れる川嶋朗氏(東京女子医科大学付属青山自然治療研究所クリニック院長)で、掲げたテーマが「医療維新」だ。シンポジウムとして「がん治療ー西洋医学VS代替医療」のディベートが企画され、西洋医学側からは国立がんセンター中央病院・薬物療法部医長の平家勇司氏、代替医療側からは健康増進クリニックの水上治氏が登場し、乳がん、肺がん、消化器がんなど部位別にシンポジウムが行われた。ディベートでは「抗がん剤は日々進歩はしている」「限界があるがん治療への患者満足度をどうするかーーこれも医療テーマ」「代替療法には、いいかげんな療法もある」「代替療法を活用することで医療の幅が広がる」「代替療法で奇跡的な治療が起こる場合もある」など、長所や今後の課題を含めた意見が出された。(詳細は本紙451号に掲載)

"新しい薬膳"とは
日本中医食養学会設立15周年記念学術大会

 日本中医食養学会設立15周年記念学術大会は1月25日に虎ノ門パストラルホテルで盛大に行われた(前号450号『薬膳・食養』でレポート記事)。その中から今後のキーワードとなる発言をまとめてみよう。
 ●「時に因り、地に因り、人に因り」ーー中医栄養学の基本
 ●日本型薬膳、心トキメク食事、薬膳と現代栄養学との対話と融合
 ●最初に人間ありきの薬膳。食品の機能性成分研究の限界。食品全体をあらゆる料理法で
 ●人生のルーツとしての薬膳
 ●健康、楽しみ、社会貢献、晩年の3大テーマを薬膳を通して
 ●自らの乳がん克服、食事療法、自然に寄り添う薬膳の心
 ●糖尿病の食事指導に中医栄養学を
(詳細は本紙451号に掲載)
 


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