編集/発行・漢方医薬新聞社 

456号(09年5月20日発行)〜459号(09年7月30日発行)

                         

第15回国際東洋医学会学術大会キックオフ!
参加事前登録・発表演題受付中

 韓国、台湾、日本などが中心となって運営する国際東洋医学会(ISOM、室賀昭三会長)の主催で、来年2月に幕張メッセで開催される第15回国際東洋医学会学術大会(中田敬吾会頭)の始動を宣言する「キックオフ・ミーティング」が6月19日(金)に開催された。
 当日は、第60回日本東洋医学会学術総会の初日だったこともあって、全国の漢方医や鍼灸師、薬剤師、製薬会社など関係者が多数参集。挨拶に立った国際東洋医学会副会長で日本支部長をつとめる秋葉哲生氏は、「日本での開催は前回の1999年以来10年ぶり。これまで会の運営を担ってきた韓国の恩に報いるためにも日本で開催することを引き受けたが、現在国内会員は100数名しかおらず、財政的にも苦しい状況。当初はどんな形でもいいから開催しようと考えていたが、会頭はじめ理事の先生方のご尽力により、充実したプログラムが計画されました」と感謝の意を表した。
 今大会の会頭をつとめる中田敬吾氏は、「大勢集まっていただいて本当に嬉しい。皆さまのお力添えのもとで成功をおさめることができるよう、よろしくお願いします」と礼を尽くした。
 今大会の副会頭で、この日の会を取り仕切った安井廣迪氏は、「今日のこの会を"チームICOMキックオフ・ミーティング"と命名しました。ぜひ一丸となって成功に導いて欲しい」と始動を宣言した。
 2010年2月26日(金)〜28日(日)に開催される第15回国際東洋医学会学術大会のテーマは「伝統医学と現代医学との調和」。演題応募と事前登録(前期)の締切は、9月10日(木)13時に延長された。「多くの演題を発表し、海外演者を歓迎して、国際交流を身近なものとした成果を次に繋げたい」と参加を呼びかけている。(詳細は本紙459号に掲載)

新会長に寺澤捷年氏
国際色豊かに還暦迎え新時代に突入
第60回日本東洋医学会学術総会閉幕

 6月19〜21日の3日間にわたって開催された第60回日本東洋医学会学術総会(石川友章会頭)は、3000人の会員を集めた。今回は第1回の創立大会から数えてちょうど60回目、還暦を迎える記念すべき大会となった。
 大会初日に開催された代議員総会では、新会長に選出された寺澤捷年氏の就任が承認され、新体制が発足した。寺澤氏は本紙の取材に「とにかく2年の間に何ができるか、全力を尽くしたい」と職務への強い意気込みを語った。今回のプログラムでは、初日に国際シンポジウムが組まれ、漢方医学の国際化の動向に対応が急務であることを示したほか、伝統医学としての漢方医学の重要性を再認識する演題や、医史学に関する演題や企画が注目を引いた。
 20日に行われた懇親会には、国際シンポジウムに参加した人たちが多数出席し、例年になく国際色豊かな会となった。そうした中で、大韓韓醫學會会長の金章顯氏、衆議院の松本純氏、三田病院院長の北島政樹氏らが祝辞を述べ、山田光胤氏が乾杯の音頭をとった。北島政樹氏は祝辞の中で「外科部門においては漢方薬の大規模な臨床試験が進行中で、エビデンスの集積が進んでいる。これまでにない漢方の新時代」と語った。懇親会ではまた、江戸時代から続く伝統芸能の木遣りが披露され、日本東洋医学会の還暦を記念して作られた特製の手拭も配られた。
(詳細は本紙459号に掲載)

日本東洋医学会 市民公開講座  "認知症"テーマに満場
成人後見制度、介護、予防と治療
    三つの視点から課題にアプローチ

 日本東洋医学会学術総会との併催で平成12年からのスタート以来10回目となった市民公開講座(日本漢方生薬製剤協会共催)が6月20日(土)、都内港区の東京慈恵医会医科大学中央講堂で開催された。レトロ的な雰囲気を残す会場は、認知症という時宜に叶ったテーマとも相まって600名に近い聴衆で埋まり、活況を呈した。
 今や85歳以上の高齢者の4人に1人が認知症患者とされ、10年後には300万人に達すると見込まれている。医療だけでなく、介護、財産の管理処分などの問題も絡む認知症をめぐり、三人の演者がそれぞれの立場から論じた。
 介護の立場からは、昭島市の介護老人福祉施設、愛全園施設長の蓮村幸兌氏が「認知症の漢方治療」と題して講演。「患者の7〜8割に作話、暴言、徘徊、せん妄などの生活行動障害が起こるため在宅生活の継続が難しい。単に困った症状と捉えるのではなく、その人と向き合い、生活環境と人間関係、心理状況を見つめることから適切な対応が可能となる」と、コミュニケーションの重要性を強調し、香蘇散が効いた症例などを紹介した。
 予防と治療の立場からは、東北大学加齢医学研究所・加齢脳・神経研究部門教授の荒井啓行氏が「脳老化と認知症——漢方医学の挑戦」の演題で、認知症の診断ポイントや検査に関する最新の研究成果を発表。さらに、ボケないためのライフスタイルとして「野菜と魚を毎日食べる」「週に最低2回の散歩や運動で汗をかく」「おしゃべり、読書、旅行など人生の収穫期を楽しむ」といった3点を強調した。
 財産の管理処分問題の立場からは、筑波大学法科大学院教授の新井誠氏が「認知症と成年後見制度」と題し、成年後見制度について概説した。(詳細は本紙459号に掲載)

第60回日本東洋医学会学術総会
テーマ「いま、漢方がめざすもの」
日本漢方のアイデンティティー再確認

 6月19日から3日間の日程で、第60回日本東洋医学会学術総会が開催される。「還暦」を迎える大会となる今回の開催地は首都・東京。港区ベイサイドにあるニューピアホール、ホテルアジュール竹芝、シーサイドホテル芝弥生会館、東京都立産業貿易センターと4会場を使用して開催される。本紙のインタビューに、石川友章会頭(東京慈恵会医科大学客員教授)は大会の見どころについて次のように語った。
 「今大会は一般演題の口頭発表178題、ポスター発表163題の合計341題と、たくさん申込みがあった。見どころとしては、『世界からみた漢方』と『東アジア伝統医学のエビデンス』と題した2つの国際シンポジウム。ほかに、日本医師会会長の唐澤祥人先生に、高齢社会や地域環境と日常診療についてご講演いただき、三田病院院長の北島政樹先生からは、西洋医学と東洋医学が相反するものではなく、長所を認め合い、短所を補い合うものであるという視座から漢方の科学的検証についての提言がある」。
 プログラムとしては、会頭講演をはじめとして招待講演が2つ、特別講演が2つ、教育講演が3つ、特別企画が3つ、国際シンポジウムを含むシンポジウムが5つと盛りだくさん。さらにフォーラム、伝統医学臨床セミナーが予定されている。
漢方医薬新聞は458号で、第60回日本東洋医学会学術総会の全プログラムを8ページにわたって詳細に掲載しています。  

日本漢方生薬製剤協会 第27回定期総会・懇親会
新たな船出、風間会長から芳井会長へ

 日本漢方生薬製剤協会の第27回定期総会が、6月8日(月)に都内のホテルで開催され、5期10年間に亘り会長を務めた風間八左衛門氏(ツムラ相談役)が退任、芳井順一氏(ツムラ社長)にバトンが渡され、6代目の会長に就任した。同時に、副会長と常務理事の交替もあり、高橋利夫氏(第一三共ヘルスケア社長)、桑野彰一氏(日本粉末薬品社長)が副会長に、中本庸司氏が常務理事にそれぞれ就任した。
 新たな船出に伴い、組織の改変も行われ、従来の14の委員会に替わる組織として、日漢協の基本活動を推進する「業務別会議」、各業態に共通する課題に対応する「機能別委員会」を新たに設置。「それぞれの業態が自主性をもって運営し、業界の発展に期する」としている。(詳細は本紙457号に掲載)

改正薬事法いよいよ施行開始
「省令は法律を超えた規制」と2社提訴
「守る会」厚生労働省記者会で会見

  改正薬事法がいよいよ今月1日より施行され、一般用医薬品の郵送販売規制が始まった。一般紙を含む大手報道各社は、「大衆薬、コンビニ販売開始」などの見出しで、便利に購入できるようになったことや、人件費が安くて済む登録販売者を増員して売り場を拡張する大手スーパー、コンビニ、大手家電量販店などの様子を映し出し、販売競争激化が予想されることを報じた。
 一方、医薬品や健康食品などの健康用品をインターネット上で販売している「ケンコーコム」(東京都港区)と「ウエルネット」(横浜市)は5月25日、今回の改正省令を「違憲・違法省令」として提訴したことが報じられた。
 こうした状況の中で、"漢方薬など医薬品の郵送販売継続を守る会"の根本幸夫代表は、6月3日(水)、厚生労働省記者会(東京・霞が関同省内)において、記者会見を行った。内容は今回の改正省令の問題点指摘し、改善を訴えるもの。「今回の郵送規制で本当に困るのは一人暮らしだったり、老々介護など、店舗まで容易に出向くことができない社会的弱者の人々。健常者でインターネットを利用している人々ではない。『離島』限定の販売許可は何を意味しているのか。冬季の雪国や山間の僻地の住人も、病気になったら孤立した状態になる。同一処方であれば郵送販売を許可するという措置も、6月以降に病気になった人との格差を生み出している」などと語った。さらに「漢方薬の販売について何も調査せずに改正に踏み切ったために、同省も意図しなかった漢方薬局にまで網がかかったというのが実際のところ」と調査不足を指摘した。(詳細は本紙457号に掲載)

『近未来医療を担う心身医学』
第1回日本心身医学5学会合同集会

 今月6日(土)、7日(日)の2日間にわたり、わが国の心身医学関連学会5学会が一堂に会して学術集会を行う合同集会が開催された。同会運営会議の中井吉英議長(関西医科大学)と山岡昌之運営委員長(九段坂病院)は「5学会の交流を活発にすることで心身医学をさらに広めることは、かねてからの念願」と、初開催にこぎつけた喜びを語った。
 心身医学のキーワードは『関係性』と『横断性』と『全人格医療』。生命、精神・心理、環境・自然、倫理・道徳、医学的規範を包括する医療各科の土台とも言うべき心身医学は、歴史的には比較的新しい医療分野だ。「将来は5学会から世界に向けてわが国独自の心身医学を発信したい。各学会の成果が横断的に互いに関係し合うことにより多くの領域で広がりをみせ、心身医学がわが国のすべての医学・医療の土台としてさらに発展することに期待している」という。(詳細は本紙457号に掲載)

薬事法改正省令に改正案
6月1日施行目前、審議継続
電話相談による変方「可」に

 5月1日(月)に霞ヶ関の厚生労働省内省議室において開かれた「第6回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」では、同省医薬食品局が「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案」を資料提出した。
 この改正案を受け、「漢方薬など医薬品の郵送販売継続を守る会」(根本幸夫代表)は5月15日、保利自民党政調会長を通じて厚労省に「漢方薬など医薬品の郵送規制に関する要望書」を4万5千453人の署名とともに提出した。内容は「漢方薬について、初回、店頭販売を行った上で、2回目以降の電話相談を可能とすること」とし、今回の改正案について、現在継続服用中の医薬品以外が郵送不可になっていること、6月1日以降新たに漢方薬を購入した利用者への郵送ができないこと、2年後からは、第3類医薬品以外のすべての郵送が規制されることなどの問題点を訴えた。
 これに先立ち、「守る会」は4月24日に公明党の山口政調会長らとともに渡辺厚生労働副大臣を訪れて要望書を手渡した。山口政調会長は、5月21日に開かれる参議院予算委員会において「漢方郵送規制問題」に関する質疑を行うことになった。この模様はNHK総合の国会中継で全国放送される。「守る会」によると「今回の件では公明党に党として協力をいただき、参議院行政監視委員会質問が実現した」という。
  (詳細は本紙456号に掲載)

【関連記事】電話は高齢社会のライフライン
セルフメディケーション担う相談薬局

 5月15日現在の「守る会」の参加協力店舗数は1072件。47都道府県のすべてにわたっている。同会発足当初より実施した署名運動は、わずか3カ月足らずで4万5千453人の署名が集まった。同会の根本代表は「特に高齢者にとって、電話による相談はライフライン。『漢方相談薬局』『かかりつけ薬局』と称される漢方薬局は、厚生労働省が推奨するセルフメディケーションの一翼を担う実践者でもあり、医療費削減に貢献している。『電話』という相談窓口を高齢者や一般市民から奪わないで」と訴えている。(詳細は本紙456号に掲載)

「大塚恭男先生顕彰会」開催

 今年3月8日に逝去した大塚恭男氏(享年79歳)を偲び生前の業績を称えようと、「大塚恭男先生顕彰会」が5月9日(日)、ホテルパシフィック東京(港区高輪)において開催され、親族、来賓などおよそ100名が参加した。
 開会挨拶に立った石野尚吾氏(日本東洋医学会会長)は「今日は大塚先生に生前お世話になった人々が集まった」と開催経緯を説明。酒井シズ氏(日本医史学会理事長)は「常に温かいまなざしで私たちをつつんでいた。学会誌の発送をリヤカーで一緒にしたことも。東洋医学がこれほど注目されていない頃から奥深いところまで教えていただき、日本医史学会を支えてくれた」と業績を語った。乾杯の音頭をとった寺澤捷年氏(東亜医学協会理事長)は、朝日歌壇(朝日新聞)の斉藤茂吉選となった短歌「灯を消して寒くなりたる午後五時の解剖室に手を洗いをり」を紹介した。
 そのほか多数の友人が出席、それぞれ思い出を語り、和やかな会となった。最後に親族代表の挨拶に立った渡辺賢二氏(慶応義塾大学医学部/娘婿)は、一瞬涙に言葉を詰まらせながら謝辞を述べた。(詳細は本紙456号に掲載)


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