編集/発行・漢方医薬新聞社 

469号(10年1月1日発行)〜471号(10年2月15日発行)

                     

世界の東洋医学が一堂
第15回国際東洋医学会学術大会
テーマ「伝統医学と現代医学との調和」
世界を知って日本を知る大会に

 来る2月26日(金)から28日の3日間、千葉市にある幕張メッセ国際会議場において、第15回国際東洋医学会学術大会が開催される。国際東洋医学会(室賀昭三会長)は、1975年に結成され1976年から2007年までに韓国、スイス、日本、台湾、アメリカの5ヵ国において14回の学術集会を開催している。今大会は1999年に東京国際フォーラムにおいて松田邦夫氏(松田医院)が会頭をつとめて以来11年ぶり4回目の開催となる。その大会プログラムについて、副会頭をつとめる安井廣迪氏に話を伺った。
 要点は下記の通り。

  ◆各国伝統医学の最新研究についてシンポジウムが行われるA会場(メイン会場)は、すべてのセクションに英→日、日→英の同時通訳がつく。
 ◆27日(土)に行われる薬学関連テーマは「附子」(ぶし)、臨床関連・鍼灸は「頭痛」、漢方は「不妊」。
 ◆最終日28日(日)には、「日本独特の鍼灸」をテーマにしたシンポジウムとして、「刺絡」「小児鍼」「打鍼」の3つを紹介。
 ◆招待講演は、大統領の韓方(韓国)、薬用植物「麻黄」研究(日本)、鍼麻酔(台湾)の3題。
 ◆B会場では、参加各国の研究や伝統医学の現況、運用の課題などをトピックス。
 ◆C会場とD会場では、「未病」「生薬基礎研究」「世界の植物製剤市場」など多彩な7つのシンポジウムを企画。
 ◆そのほか、関連学会のイベントやシンポジウム、ランチョンセミナーなどが行われる予定。
(詳細は本紙471号に掲載)

漢方医学は日本の伝統医学、国民医療に不可欠
日本漢方生薬製剤協会 平成22年新年祝賀会

 1月21日(木)、日本漢方生薬製剤協会(芳井順一会長)の平成22年新年祝賀会が、都内のホテルで開催された。
 会長の芳井順一氏(ツムラ社長)は主催者代表挨拶の中で、「漢方薬は引き続き保険適用とするとの結論になった。しかし二度とこのような議論に巻き込まれないように、これまで以上に漢方医学の現状について情報発進していかなければならないと痛感している。漢方医学は日本の伝統医学であり、国民医療に欠かすことができないものであることをしっかりと訴えていきたい」と抱負を語った。
 来賓挨拶は、日本製薬団体連合会の木村政之理事長、日本薬剤師会の児玉孝会長、厚生労働省の岸田修一大臣官房審議官の3氏。会場には年賀を祝うムードと共に事業仕分けという危機を乗り越えた安堵感が溢れ、不況下とはいえ例年にない明るく和やかな新年祝賀会となった。(詳細は本紙471号に掲載)

第15回国際東洋医学会学術大会
いよいよ開催目前!
伝統医学の国際状況、知るチャンスに

 第15回国際東洋医学会学術大会が2月26日(金)から28日(日)の3日間にわたり開催される。初日は、15時から会場の幕張メッセ国際会議場において登録受付、17時からワールドビジネスガーデンのマリブウエスト35階にあるWBGクラブラウンジにおいてウェルカムレセプションを開催する。2日目の27日(土)からは、薬学関連プログラム、臨床関連プログラム、シンポジウムや招待講演、各国のトピックスなどが発表され、討論や意見交換が行われる予定。
 会頭講演は、中田敬吾氏(聖光園細野診療所院長)により、聖光園細野診療所の開設者でもある「故・細野史郎氏が果たした役割について」。招待講演は、韓国から「大統領の韓方」と題した講演や台湾から林昭庚氏の鍼麻酔についての講演など3題。このほか各国事情についてはヨーロッパ、台湾、韓国、日本、アメリカ、オーストラリア、香港のトピックスを取り上げた各セクションが2日間にわたり行われる。
 そのほか伝統医学関連メーカーによるランチョンセミナーも計画されている。
 また同会とロート製薬(株)との共催で、市民公開講座が最終日28日(日)の14時から16時まで開催される。参加は無料だが事前申込が必要で、申し込みは2月14日(日)までに。
(詳細は本紙470号に掲載)

参考資料 : 「国際東洋医学会(ISOM)と同学術大会(ICOM)の歴史 」
"The history of International Society of Oriental Medicine(ISOM)and
International Congress of Oriental Medicine(ICOM)"(和文英文併記)は
→こちらからダウンロード(PDF)できます

関連記事 : 昨年1月に本紙が中田敬吾会頭にインタビューした記事(449号)は→こちら

「外から治す東方医学の知恵」テーマに
第27回日本東方医学会学術大会

 来る2月14日(日)、東京国際フォーラムにおいて第27回日本東方医学会学術大会が開催される。メインテーマは「外から治す東方医学の知恵」。生薬治療(漢方、中医学)、鍼灸、気功など様々な治療法について、シンポジウムや講演が行われる。
 会頭講演は、上馬場和夫氏(富山大学和漢医薬学総合研究所客員教授)による「皮膚を介する東方医学の治療法--その機序と可能性」。「癌治療西洋医学VS代替医療外科的治療と代替医療」と題した討論会も行われる。シンポジウムのテーマは「ツボ(経穴)の基礎と臨床応用の要点」「温熱療法」「アロマセラピーその効き方・効かせ方」の三つ。ほかに「五行弁証からみた肺胃」など13題の一般口演が予定されている。
 事前登録での参加費は、会員5千円、非会員6千円、学生1千円(当日一律8千円)。事前登録の締切2月5日。問い合せは、日本東方医学会事務局(電話03-522-1225、FAX03-622-1241)まで。
(詳細は本紙470号に掲載)

日本経済成長の牽引役として
平成22年薬業四団体新年賀詞交歓会

 平成22年薬業四団体新年賀詞交歓会(東京医薬品工業会、東京薬事協会、東京医薬品卸業協会、東京都家庭薬工業協同組合)が1月6日(水)、都内港区のホテルで開催された。
 東京医薬品工業協会の樋口達央会長(大塚ホールディングス社長)は主催者代表挨拶で、「医薬品業界も、今まさに新しい一歩を踏み出そうとしている。今年一年が革新の年となり、医薬品産業がイノベーションを担う重要産業として日本の経済成長の牽引役となれるよう着実に取り組んでいきたい」と決意を表明。来賓として出席した岸田修一厚生労働省大臣官房審議官、桜山豊夫東京都福祉保健局技官、中山義活総理大臣補佐官代理の菊地望氏の3氏が、それぞれ祝辞を述べた。
 その後、平成二十一年度薬事功労受賞者の紹介とお祝い品贈呈があり、受賞者を代表して旭日重光章授章の青木初夫アステラス製薬相談役の謝辞の後、内匠屋理東京医薬品卸業協会の理事長(メディセオ会長)による乾杯の音頭で懇談に移った。
(詳細は本紙470号に掲載)

新たな取り組みにチャレンジ
新春インタビュー  秋葉哲生氏
「漢方ならではのエビデンスの構築を」

 2010年を迎え、今年の新春インタビューは秋葉哲生氏にお話をうかがった。千葉県・蓮沼であきば伝統医学クリニックを開業する秋葉氏は、昨年から日本東洋医学会の副会長もつとめている。漢方界の現況や、今、漢方に求めるもの、今後の課題について、私見を交えた意見をいただくとともに、秋葉氏の今後の取り組みについてお聞かせいただいた。
 その要旨は次の通り。

 「2009年は、政治に翻弄された一年で、保険適用薬としての漢方については、存立基盤がまだ弱く、国民全体が認めるというものになっていないことを感じた。薬局製剤もあわせた生薬製剤全体は、日本の薬剤医療全体の1.4%。保険医療の中に占める割合は1%程度の非常に小さなものなので簡単に潰されかねない。漢方界をあげて漢方ならではのエビデンスの確立をやらなければならない。クリニカルエビデンスは国費によって大規模研究を実施すべきだが、いかに漢方に理解のある西洋医学の人たちと一緒にやれるかが決めてだろう。科研費で研究できるということであれば、西洋医学の先生方にとっても新しい発見のできるチャンスだ。」
 「漢方の現況において特筆すべきは、今回のICD‐11(国際疾病分類‐第11版)に伝統医学の病態・病名が入ることが確実になったこと。今後の漢方の基礎を作っていく上で、大きな役割を果たすだろう。また近年、漢方の伝統的な用い方も含めて、より有効な使い方が模索され始めている。高いレベルの知識、技量を目指す人が多くなり、これまでの対象疾患から対象が広がってきたとことを実感する。そのスキルを若い人たちが目指してきたのは心強い。」
 「私は、3月に慶応義塾大学の医学部を退職して、4月からは在宅で最後まで看取る『東洋医学在宅医療センター』を始める。高齢者医療の在り方が問われていながら、そうした取り組みを行っているところはどこにもない。たとえば脈には、死に近くなると出る『死脈』というものがいくつかあるが、点滴をしている限り『死脈』はほとんど出ない。点滴せずに、在宅でできる看病をしながらゆっくりと死に向かっているときは、それを変更するような処置をしても意味がないから、静かに看取る努力をすべきだ。そういう人の死というものをもう一度回復したいと思う。それとともに、伝統的な診断手技、治療技術、高いスキルなどを臨床で検証し、若い人たちに残したい。」
(インタビュー記事全文は本紙469号に掲載)


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