編集/発行・漢方医薬新聞社 

 
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2016年8月30日更新

   

第33回和漢医薬学会学術大会
「和漢薬イノベーションの創生」
和漢薬の新しい価値を見出すために

 8月27日(土)、28日(日)の2日間、星薬科大学(東京都品川区)において開催される第33回和漢医薬学会学術大会の大会長をつとめる杉山清氏(星薬科大学副学長)に、大会の見どころをお話しいただいた。今回のテーマは「和漢薬のイノベーションの創生」。和漢薬研究の今後の方向性と活性化の方策を探索するのがねらいだ。
 杉山 「和漢薬の研究者たちはいま、今後の方向性を模索しています。私が和漢薬研究にかかわりはじめた35年ほど前には、漢方薬、和漢薬の研究は盛んで、世の中にも受け入れられていました。当時は西洋薬の副作用がクローズアップされ、病気の治療に役立てることのできる薬として、漢方薬に期待が寄せられたのです。昭和42年から漢方薬は保険収載されていましたから、世の中の流れとあいまってブームとなり、医学部も薬学部も和漢薬の研究に取り組みました。若い研究者もたくさんいて、学術大会は満場の状態でした。そうした勢いが消え、若い研究者も少なくなったいまの状況において、和漢薬を用いた医療や研究活動を活性化するにはどうしたらいいのか? これが今大会のテーマです。」
 「大学での漢方医学教育については、医学部は医師国家試験に漢方医学の設問がなく、薬学部も方剤の研究ではなく生薬学、つまり生薬個々の研究にとどまっています。薬剤師国家試験は、数年前からかろうじて方剤の設問が出題されるようになりました。いまは医師の9割が漢方薬を用いているといわれ、薬剤師が漢方薬の処方箋を手にする確率は非常に高いのに、学生たちは漢方の知識や理論をほとんど身につけずに学部を修了します。薬剤師たちは、資格取得後に現場で学ぶしかないのです。」
 「今大会では、シンポジウム『薬学部における漢方医学教育がめざすもの』をテーマに、全国74大学薬学部における漢方医学教育の現状調査や、臨床現場の薬剤師が求める漢方医学教育、何を教えるべきか、といった発表があります。薬剤師が漢方を勉強するきっかけにしていただきたいと考えており、活発に討論されることを期待しています。」
 「また『健康サポート薬局』や『かかりつけ薬剤師』の業務体制が整備され、基準を満たすためには日本薬剤師研修センターによる研修が必要となっています。今大会でも薬剤師の学ぶ機会を支援する形で取得単位を設定しています。」

(詳細は556号に掲載)


「安定確保」「品質確保」が重点課題
 日本漢方生薬製剤協会第34回定期総会

 日本漢方生薬製剤協会(「日漢協」、加藤照和会長、会員数66社)の第34回定期総会が5月17日(火)に都内で開催され、事業計画や予算などの各議案が承認された。今年度は日漢協5か年計画(中長期事業計画2012)の最終年度であり、「原料生薬の安定確保」と「原料生薬から最終製品までの品質確保」を重点課題に位置づけた。
 重点課題のうちの「原料生薬の安定確保」については、最大供給国の中国の関係組織との交流を軸に、国内栽培の振興施策も検討。「原料生薬から最終製品までの品質確保」については、日本のPIC/S(ピックス : 医薬品査察協定および医薬品査察協同スキーム)加盟に伴う審査(残留農薬、重金属、微生物など)に対応し、日漢協版GACP「薬用植物の栽培と採取、加工に関する手引き」の普及につとめるとのこと。

(詳細は555号に掲載)


進む各分野の研究
健康寿命に貢献を
第67回日本東洋医学会学術総会

 第67回日本東洋医学会学術総会が6月3日(金)から3日間、サンポートホール高松(高松市)など3か所で開催され、2509名が参集し盛会となった。テーマは「パラダイムの継承とその未来——多様な漢方に橋をかける」。閉会式では会頭をつとめた清水寛氏(東洋病院)が、「各分野の研究が進み、学ばせていただいた」と所感を述べ、「高齢者の疾患はますます増えることが予想され、ひとつの方剤でさまざまな症状に対応できる漢方医学をうまく活用し、健康寿命を延ばして医療費を抑制できれば」と語った。
 来年は6月2日(金)〜4日(日)の3日間、名古屋国際会議場(名古屋市)で開催。テーマは「漢方医学の確立——協調と発展に向かって」。会頭は金子幸夫氏(金子医院院長)がつとめる。

(詳細は555号に掲載)


ツムラ、中国で新規事業を展開

  ツムラ(加藤照和社長、東京都港区)が5月13日(金)に開催した決算説明会(2015年4月〜2016年3月期決算)では、先にプレス発表した中国における新規ビジネスについて加藤氏が解説した。
 同社では、上海市薬材有限公司(上海医薬集団股份有限公司の子会社)と合弁会社を設立し、中薬配合顆粒(「中薬配方顆粒」※単味生薬エキス顆粒)を中国市場で販売する。同公司は、上海津村製薬有限公司における15年来のパートナー企業で、今事業については、同公司から提案があったという。
 「中薬配方顆粒」は、近年、持ち運びのよさや、服用しやすさ、利便性、衛生面から、中国国内の医療機関や一般の間でニーズが高まっているとのこと。中国政府公表「2014年医薬工業経済分析」によると、2014年の「中薬配方顆粒」の市場規模は1200〜1300億円で、2010→2014年の平均伸長率は147%。「飲片」(刻み生薬)も122%と伸長している。
 今回の提携により、原料生薬の供給・調達の強化を図るとともに、同社からの技術支援を強化するほか、人参など重要生薬の共同研究や産地管理など、長期安定供給体制を構築する。

(詳細は555号に掲載)


第67回日本東洋医学会学術総会
「パラダイムの継承とその未来]
―多様な漢方に橋をかける―

 第67回日本東洋医学会学術総会が6月3日(金)から3日間、サンポートホール高松(高松市)など3か所で開催される。四国では初の大会だ。テーマは「パラダイムの継承とその未来―多様な漢方に橋をかける」。会期中は会頭講演、特別講演3題、招待講演3題、シンポジウム8題ほか、さまざまなセッションが執り行われる。今号では、会頭の清水寛氏(東洋病院理事長/徳島大学医学部臨床教授)に今回の見どころについてお話をいただいた。同氏は、「現在漢方は、さまざまな研究者や関係者から興味を持たれ、西洋医学との結合医療により、飛躍的に進化を遂げている。いまや世界的に浸透しつつある東洋医学の基本を研修し、新しい時代の医療体系の構築に寄与することが今学会の目標となっている」と語り、参加を呼びかけた。

(詳細は554増刊号に掲載)


人々の健康に寄与する伝統医学を構築を
第18回国際東洋医学会学術大会

 第18回国際東洋医学会学術大会(18th ICOM)が4月15日(金)から3日間、沖縄コンベンションセンター(那覇市)において開催され、参加者587名を集めて盛会となった。大会長は大野修嗣氏(大野クリニック)がつとめた。
 おもに韓国、台湾、日本が中心となって運営する国際東洋医学会(ISOM)の本部は韓国にあり、中田敬吾氏(聖光園細野診療所)が会長をつとめている。今大会は初日に「第1回日独合同シンポジウム―漢方&鍼灸」(The First Japan-Germany Joint Symposium on Kampo Medicine and Acupuncture)が同会場で開催され、国際色豊かな大会となった。

(詳細は553号に掲載)


「無門塾」今年度がスタート

  無門塾(田中まち子塾頭)が、今年度もスタートした。4月10日(日)に北里大学薬学部で開かれた第1回講義は、田畑隆一郎氏(たばた関本薬局)、蓮村幸兌氏(三考塾)、姜東孝氏(栃本天海堂)が特別講義を行った。
 同会は田畑氏が1978年に主宰した「漢進会」を源流として、今日まで引き継がれている。「傷寒・金匱」と生薬の気味をどっぷり学ぶ日本漢方の勉強会だ。 
 今年度から、秋葉哲生氏(あきば伝統医学クリニック)が顧問として加わる。

(詳細は553号に掲載)


「薬都とやま」で温故知新を具現
日本生薬学会第63回年会(富山大会)

◆講演申込み、事前参加登録を受付中
 日本生薬学会第63回年会が9月24日(土)・25日(日)の2日間、富山国際会議場(富山市)において開催される。年会会長は小松かつ子氏(富山大)がつとめる。
 富山での開催は、今回で3回目。小松氏は、「薬都とやまで温故知新を具現する」として、研究成果の発表と討論に期待し、参加を呼びかけている。
 現在、講演申込み(6月17日(金)23時59分締切)、ならびに参加予約(8月5日(金)23時59分)をHP上で受付中。

▼日本生薬学会第63回年会(富山大会)ウェブサイト
http://jsp2016.jp/

(553号に掲載)


「次世代の薬学」着々と
日本薬学会第136年会

 3月27日(日)〜29日(火)の3日間、日本薬学会第136年会(組織委員長 : 伊藤智夫・北里大学薬学部長)がパシフィコ横浜で開催され、約1万人が参集した。テーマは「次世代の薬学への羅針盤〜新しい薬学への出帆」。前日の26日(土)には、中高生向け市民講座が企画され、「What is 薬学?」をテーマに黒田照夫氏(岡山大)が講演。参加した中高生は、大村智氏(北里大)のノーベル賞受賞記念講演(最終日29日(火))への無料招待ほか、機器展示会場への入場がフリーに。主催者らは「若年層を薬学に取り込む」と期待した。
 シンポジウムは「東京オリンピック・パラリンピック2020に向けた薬局・薬剤師と外国人患者のコミュニケーション」「薬学教育学のスタートアップ」など一般67題と大学院生5題、国際創薬シンポジウム1題など。
 和漢薬関連では、「和漢薬の科学基盤」をテーマにオーガナイザーを小松かつ子氏(富山大)と稲垣直樹氏(岐阜薬大)がつとめ、5人が講演した。
 受賞講演では、薬学会賞4名をはじめとする計23名が登壇。東田千尋氏(富山大)がアルツハイマー病に対する山薬の作用などの研究で学術振興賞を受賞し、「神経変性疾患の新しい治療戦略に関する研究」と題して講演した。
 最終日の大村智氏(北里大学特別栄誉教授)によるノーベル賞受賞記念特別講演は、会場となったメインホール(A会場)はじめ、同時上映したサテライト会場(B〜E会場)すべてが満席となった。演題は「微生物創薬と国際貢献」。400種におよぶ微生物由来化合物の発見や、抗生物質イベルメクチンの開発の経緯、企業との連携で研究費を捻出したこと、オンコセルカ症患者への医薬品の無償供与を可能にしたこと、西アフリカ諸国の人々の健康と労働力の回復に貢献できたこと、イベルメクチンの特許料で440床の総合病院(北里大学メディカルセンター、埼玉県北本市)を創建したことなどを紹介した。

(552号に掲載)


——漢方医学教育——
「臨床実習」の現状と課題
KAMPO MEDICAL SYMPOSIUM 2016

 2月6日(木)に京王プラザホテル東京(新宿区)で開催されたKAMPO MEDICAL SYMPOSIUM 2016(カンポウ・メディカル・シンポジウム2016)は「大学卒前教育から卒後教育までの一貫性ある漢方医学教育を目指して」をテーマに毎年開催。今年も多数の医師らが参集した。
 漢方医学教育をテーマに16回目を迎えた今回は「臨床実習」にスポットをあて、基調講演(1題)を皮切りに、5人のシンポジストによる講演と総合討論が行われた。教育講演には、文部科学省と厚生労働省からそれぞれ1演者が登壇した。
 開催挨拶に立った加藤照和氏(ツムラ社長)は、「2004年度にはすべての医学部・医科大学において漢方医学教育が実施されるようになり、現在はほとんどの大学の講義は8コマ以上、漢方外来も設置されるようになった」と、年ごとの定着を紹介。一方で「臨床実習は80校中42校と、さらなる充実が望まれる」と加藤氏。「指導者の育成など、本シンポジウムが課題解決のきっかけになれば」と期待を寄せた。

(552号に掲載)


六君子湯のグレリンシグナル増強作用が長寿遺伝子を活性化

 2月2日(火)、六君子湯に関する基礎研究の論文が『Molecular Psychiatry』誌(Nature Publishing Group)に掲載され、英シュプリンガー・ネイチャー社がプレスリリースした。
 タイトルは「グレリンシグナリングの増強は、サーチュイン1の活性化により加齢モデルマウスの寿命を延長する」。六君子湯グレリンプロジェクト(乾明夫代表・鹿児島大学大学院心身内科学分野)のメンバーが中心となって執筆した。
 乾氏らの論文では、グレリンのシグナル伝達が、老化に伴う臓器症状の改善、または発症遅延、臓器保護などに関与していることを3系統の加齢モデルマウスで確認。長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン1(SIRT1)の活性化が認められ、六君子湯が健康寿命に寄与する可能性が示唆されたという。
 2月10日(水)に都内で開かれた記者会見では、乾氏が研究内容を講演。質疑応答には、武田宏司(北海道大学大学院薬学研究院臨床病態解析学教授)、上園保仁(国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野長)、高崎隆次(ツムラ常務執行役員)、藤塚直樹(同社製品戦略本部、同社研究所生体機能研究所消化器グループ長)各氏も加わった。
 乾氏らは、カロリー制限の状態(腹八分)が老化や身体機能の低下、病気の発症を遅らせることに着目。グレリンは空腹に応じて胃から分泌され、エネルギー代謝を管理することから、「グレリンが老化関連疾患からの保護を担っている」と仮定し、①klotho(クロトー)遺伝子欠損マウス、②老化促進モデルマウスSAM P8、③正常加齢ICRマウス——の3系統の老化モデルマウスを用いて生理的メカニズムを解析したという。
 実験では、①のマウスにグレリンそのものを投与しても延命しないが、六君子湯ならびにアトラクチロジン(六君子湯の構成生薬「蒼朮」の成分)を投与すると有意に延命した。
 ②のSAM P8に六君子湯を投与すると有意に延命し、通常老化マウスSAM R1(コントロール群)と同等だったほか、活動量が増え、概日リズムが改善した。
 ③のマウスは、ヒトの還暦程度のポピュラーな老化モデルとのこと。六君子湯投与群に有意な延命や、死因(肺がん、肝がん)における有意差は認められなかったが、心筋繊維巣状萎縮を有意に改善していた。活性化ミクログリアも抑制し、視床下部SIRT1の活性についても有意に上昇していた。
 乾氏らは、「SIRT1増加作用がグレリン受容体を介している」との仮説を証明するために、③のマウスおよび③のグレリン受容体欠損マウスと、Wild‐typeで六君子湯投与比較試験を実施したところ、受容体欠損マウスのSIRT1は上昇しなかった。
 学習記憶を比較する「受動回避試験」(電気ショックを与え回避する様子を観察する)でも、六君子湯投与群に学習記憶の改善作用が認められ、視床下部への作用との関連が示唆された。
 今後は食欲不振時の食欲増進作用や、カロリーが制限された状態におけるグレリンシグナル増強作用とSIRT1の活性化、延命、健康寿命との関連についても研究を進めるという。

【グレリン】1999年に寒川賢治氏(国循セ)らが、ラットとヒトの胃から発見した成長ホルモン分泌促進物質で、28アミノ酸残基よりなる摂食促進ペプチド。脂肪酸修飾という特徴的な構造をしており、唯一末梢(主として胃内分泌細胞)で産生される。

◆Title
Increased ghrelin signaling prolongs survival in mouse models of human aging through activation of sirtuin1
◆authors
N Fujitsuka, A Asakawa, A Morinaga, M S Amitani, H Amitani, G Katsuura, Y Sawada, Y Sudo, Y Uezono, E Mochiki, I Sakata, T Sakai, K Hanazaki, T Yada, K Yakabi, E Sakuma, T Ueki, A Niijima, K Nakagawa, N Okubo, H Takeda, M Asaka and A Inui
◆Pubmed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26830139

(詳細は本紙552号に掲載)


    

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